2004/12/17

アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉

『アブダラと空飛ぶ絨毯―ハウルの動く城〈2〉』読了。『魔法使いハウルと火の悪魔』の続編です。
ハウルとソフィーのいた国とは全く違って、千夜一夜物語(アラビアンナイト)風な世界が舞台。主人公は親戚の連中に何かと文句を言われがちな自営業(絨毯屋)の独身男。ハッキリ言って一作目とは全然違う雰囲気です。
本文が始まる前に載っている、『登場人物紹介』にハウル、ソフィー、カルシファーと名前が入ってたのでどういう感じに出てくるのかなーととても気になりましたね。
まぁ実際、その3人はすごくストーリーに絡んでるんだけど、基本的には新主人公『アブダラ』の冒険物語です。
空飛ぶ絨毯、魔神(ジン)、精霊(ジンニー)が出てきてアラビアンファンタジーバリバリですよ。

ヨーロッパ系の“剣と魔法”に出てくる魔法と、アジア系の“漢字・凡字、紙と火”を使った術っていうのはどちらも術者のレベルが術の効果に大きく影響するんですよね。もちろん強いアイテムがあればその分有利になったりするけど、基本的には本人の強さがそのまま魔法の強さになる。映画だと、そう、『ハリー・ポッター』とか『安倍清明』とか。
『アラジンと魔法のランプ』とか『アリババと四十人の盗賊』とか、アラビアンナイトに出てくる魔法はちょっと違うんだよね。主人公は一般人で、言ってみればレベル5ぐらい。盗賊だの悪人だのはレベル10ぐらいに見えるやつらが何人もいるわけですよ。
ただ、本人が弱い替わりにマジックアイテムのランプ(ランプの精レベル100召喚)とか魔法の指輪(指輪の精レベル50召喚)とかが出てくるわけです。
それだけ強い魔法があればあっという間にいろいろ解決してハッピーエンド、物語は終了?と思うんだけど、これがそううまくいかないんですよね。物だからそれを取られたら終わりだったり、呼び出した精霊そのものがひねくれていて頼まれた願いをわざと曲解して使役者をこまらせたりするわけです。
アラビアンナイトのお話はアイテム所有権の移動やアイテムの利用法の機転による立場の逆転劇がとても面白いんですよね。

『アブダラと空飛ぶ絨毯』も、このあたりのストーリーの楽しさはよく盛り込まれています。
それに加えて、前作同様女性キャラが生き生きと描かれており、ページの残りを惜しみつつよむことが出来ました。
他の作品も読んでみようかな、とおもいます。

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