2010/09/05

冲方丁『天地明察』

久々に読んだ一冊。江戸時代前期に実在した天文暦学者、渋川晴海の一生を描いた内容です。
晴海は長男でありながら家督は既に義兄が継いでおり、碁打ちで城勤めし、趣味で算術を行うという飄々として今ひとつ頼り無い雰囲気で登場する主人公。
しかしその誠実な人柄で様々な人から見込まれ、さらに人脈をつくりながら「暦の改定」という巨大プロジェクトに挑んで行く、といったお話です。

ヒロインの『えん』、ライバルキャラの関孝和と本因坊道策、師匠キャラの建部と伊藤などなど、登場人物が非常に魅力的でした。
関は算術の天才、道策は囲碁の天才で両名とも歴史に残る、主役をはれるような人物。
師匠たちは壮年でありながら向学心に溢れる研究家たちで、読んでいてときめきがあります。
それから大きな後ろ盾になる保科正之と水戸光圀も、出てくるとニヤリとしてしまうかっこよさでした。

チャンバラのシーンは一文字もありませんが、壮大な戦いを描いています。このあたりはマルドゥックスクランブル後半のカジノバトルと通じるところを感じました。
爽やかな青春模様を綴ったとてもよい時代小説だと思います。井上さんあたりに(バガボンドはもういいから)これを漫画化して欲しい。それか再来年あたりに大河ドラマにして欲しい。

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