2011/08/20

DVD 映画『鴨川ホルモー』

お盆期間のレンタル50円につられて借りてきました。
以前ドラマ化された『鹿男あをによし』の原作者である万城目学氏の小説を映画化したもの。

主役を山田孝之、ヒロインに栗山千明となかなかのキャスティング。以前から観たいなと思っていたものでした。 京都の四方に位置する大学が、はるか昔から続く地鎮祭のような意味合いでの対抗戦を引き継いでいるという世界観のお話。『鹿男』とテーマはよく似てます。

この対抗戦、一人が百体の『鬼(式神)』を操り十人対十人で戦闘を繰り広げるというもの。小さい鬼たちがわらわら出てきます。
鬼たちに命令するための鬼語、奇妙なジェスチャー付きで面白い。明らかにフィクションなんだけど、いかにもありそうなお祭りの空気や体育会系サークルの雰囲気がリアルで、それが全体的な説得力を維持してくれています。
ちょっとテーマが若者の青春と葛藤に傾きすぎてたかなあ。もうちょっと戦闘をじっくり見たかった。

『鹿男』ドラマの甘酸っぱさと謎解きの楽しさがなかなかバランスよかったのはやはり尺が長かったからだろうか。
作品トータルとしてはとても楽しめました。いずれ原作のシリーズも読んでみたい。

2011/08/18

上田早夕里『火星ダーク・バラード』

小説『火星ダーク・バラード』読了。
火星の局地的テラフォーミングが進み、木星への移住も見えているといったレベルの世界が舞台のお話。
連続殺人犯を追うハードボイルドな刑事が、捜査をすすめるうち火星政府の重要な秘密に近づき、命を狙われていくというべたながら熱い展開です。

ヒロインが遺伝子操作で生まれたニュータイプっぽい特殊能力者ということでこれもすごくべたな設定なんだけど、科学的バックグラウンドの描き込みが良くSFとしてもとても楽しめました。
この特殊能力が「他人の感情が読める」(思考ではない)と、「特定の人の思ったとおりに物を動かせたりする」という感じの、能力者本人だけでは力を発揮できないという物で、この設定がまた良かったんだけど最後これが生かされてなかったのはちょっと残念だったかな。

混沌とした移住地の雰囲気や物語のスピード感、テラフォーミングの様子や軌道エレベータの表現などなど、全体的にときめく要素が満載で一気に読んでしまった。満足でした。